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強い組織ほど、正解を捨てる ——「きれいごと経営」が教えてくれた、組織の空気のつくり方

先日、GCストーリー・西坂勇人社長の著書『強い組織ほど正解を捨てる「きれいごと経営」』を読み進めました。

ちょうどその日の午前中、ある研修講師の方と、現場の販促や実践的な取り組みについて語り合っていました。話せば話すほど見えてくるのは、どの現場にも必ずある「理想と現実の葛藤」です。けれど、その葛藤こそが面白さの源でもある——そんな余韻を抱えたまま手に取った一冊でした。

「正解を捨てる」とは、何を捨てることか

タイトルにある「正解を捨てる」とは、いい加減になるという意味ではありません。むしろ逆で、「これが唯一の正解だ」という思い込みを手放す、ということだと私は受け取りました。

ひとつの正解にしがみつくほど、組織の空気は硬くなっていきます。「間違ってはいけない」という緊張が、社員一人ひとりの声を少しずつ小さくしていくのです。反対に、強い組織ほど、正解を握りしめず、問い続ける余白を持っている——そう感じました。

認識範囲を広げる——俯瞰・内省・越境

西坂社長は、ティール型の自律組織や成人発達理論を、十数年にわたって経営の現場に落とし込み、ホワイト企業大賞を受賞されています。

その歩みの中で、私の心に特に残ったのが、「俯瞰・内省・越境による“認識範囲”の拡大」という考え方でした。

俯瞰とは、自分の立ち位置を一段高いところから眺めること。内省とは、外ではなく自分の内側に目を向けること。越境とは、いつもの枠の外へ一歩を踏み出すこと。

この三つは、そのまま「視野の狭さ」という、組織が停滞するときの正体への処方箋でもあるように思います。

貢献のための成長(GC)と「喜びの中で生産性が上がる組織」

GCストーリーの理念は、GC=Growth for Contribution、すなわち「貢献のための成長」だそうです。

自分のためだけの成長ではなく、誰かへの貢献の中でこそ、人は最ものびやかに育っていく。これは、私がいつも申し上げている「喜びの中で生産性が上がる組織」と、深いところで響き合っています。

人は、怒鳴られて伸びるのではありません。役に立てている、響き合えているという実感の中でこそ、静かに力を発揮していくのだと思います。

認識範囲の拡大は、内側の整理から始まる

では、その「認識範囲」は、どうすれば広がっていくのでしょうか。私はいつも、四つの掛け合わせをお伝えしています。

① 自分の心と意識の整理・掃除

② 自ら気づき、本来の自分(天分)で輝く

③ 他愛意識(お互い様)の集合意識の醸成

④ 上記の上で活かす各種ビジネススキル

俯瞰も、内省も、越境も、結局は「整った自分」から始まります。心がざわついていれば視野は狭まり、相手の声も受け取りにくくなります。組織開発もまた、一人ひとりの内側の整理整頓から、静かに始まっていくのだと感じています。

最後は、喜びの方へ

正解を捨てるとは、問いとともに歩むこと。そして、問い続けられる組織には、不思議とやわらかい「空気」が流れています。

苦しみを学んだ者だけが、腹から笑える日が来る。報われる時は、必ず来ます。一冊の経営書が教えてくれたのも、結局はそういうことなのかもしれません。

—— コンサルタントエージェント 代表 廣川智彦