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“組織の空気が変わる瞬間”に、私が出会った日 ― ある営業チーム再生の物語

“組織の空気が変わる瞬間”に、私が出会った日 ― ある営業チーム再生の物語

※本事例は、実際にご支援したプロジェクトをもとに、企業や個人が特定されないよう内容を再構成した、架空のケーススタディです。

はじめに ― なぜ、私はこの仕事をしているのか

「組織の空気が変わる瞬間を、コーディネートする」

これは、私たちコンサルタントエージェントが掲げているコンセプトです。少し詩的に聞こえるかもしれません。けれど私にとっては、飾りの言葉ではありません。一つの、忘れられないプロジェクトから生まれた、実感のこもった言葉なんです。

今日は、その原点となった物語を——もう10年以上前になりますが——少し長くなりますが、お話しさせてください。ある大手通信グループの営業会社――ここでは「A社」とお呼びします――の、営業チーム再生のストーリーです。

相談に来られたときのA社 ― 静かに沈んでいく組織

A社は、誰もが知る大手通信グループの、営業を担う会社でした。看板もブランドも一流。にもかかわらず、実は現場は、静かに沈みかけていました。

責任者のY課長が、最初に打ち明けてくださった悩みは、こういうものでした。

「昔からのお客様に頼った営業しか、できなくなってしまったんです」

詳しくお聞きすると、いわゆる事業における"悪代官"は、何重にも重なっていました。

  • 高齢化と、慣れ親しんだ場所しか回らない体質:ベテランが顔なじみのお客様ばかりを回り、新しいお客様の開拓ができない。取引先の情報という"ネタ"が尽きれば、それで終わり。
  • 奪い合いの構造:良いお客様の奪い合い、社内に入る"おいしい情報"の取り合い。要領のいい人が得をし、真面目に地道にやる人が報われない。
  • 若手が辞める悪循環:報われない若手から、次々と辞めていく。前年は25人採用して、純増はわずか5人。
  • そして、"褒めたことのない組織":Y課長ご自身の言葉が忘れられません。「うちは、今まで人を褒めたことがない組織だったんです」

大きな事件が起きているわけではない。むしろ、皆が必死に頑張っている。それでも、数字は急落こそしないものの、徐々に落ちていく。そんな目に見えないプレッシャーと、先の見えない不安の中で、組織の"空気"は、確かに、少しずつ、重たく蝕まれていったのです。

これまで、何をやっても続かなかった

A社も、手をこまねいていたわけではありません。過去に何度も、営業力を上げようとコンサルティングを受けてきました。

けれど、うまくいかなかった。理由は、私が後になって深く納得することになる、大切な教訓を含んでいました。

それまでの支援は、すべて"個人のスキル"に向けられていたのです。凄腕のコンサルタントが同行訪問し、お辞儀の角度やトークまで細かく指導する。たしかにその瞬間は、数字が上がる。けれど――続かない。

「先生のやり方を真似ると、一瞬は上がる。でも2〜3年やっても、結局それぞれに根付かなかった」とY課長は振り返ります。できるようになるのは、もともと売れるタイプの2〜3割だけ。しかもそのノウハウは、本人の中でブラックボックスになったまま。

そして皮肉なことに、右肩上がりの時代に足で稼いだ上司が「やれ」と叱咤するほど、若手との信頼は離れていきました。喫茶店でたむろする者、こっそり家で寝ている者まで現れる始末。個人のスキルを磨く発想では、もう限界だったのです。

転機 ― "個人戦"から"チーム戦"へ

A社の本社の方が、これまでとは違うタイプの専門家を探し始めました。そして、ありがたいことに、私ども コンサルタントエージェントにお声がけをいただきました。そこで私が紹介・マッチングさせていただいたのが、営業マネジメントの専門家・S先生でした。

S先生の哲学は、当時の常識とまったく違いました。

「個人戦から、チーム戦へ。」

市場環境が根本から変わった今、一人のスーパー営業マンに頼る時代は終わった。名プレーヤーは、名マネージャーではない――サッカーのザッケローニ監督のように、"売れてしまう人"には、売れない人の気持ちが分からない。だから同行訪問しても、身につかない。

ではどうするか。S先生の答えは、明快でした。

「答えは、プロセスにある。」

営業を〈事前準備 → 初訪問 → ヒアリング → 提案 → 受注〉というステップに分解する。日報に数字はあっても、たいていの会社は"結果"しか見ていない。でも本当に大事なのは、どのステップでつまずいているかを見て、一人ひとりに、そしてチームで、丁寧に手を当てていくこと。高い営業能力がなくてもできる、再現性のあるマネジメント。それが、S先生の設計でした。

最初の壁 ― 想像を超える、信頼のなさ

とはいえ、最初から順調だったわけでは、まったくありません。

「ミーティングに人を集めるだけで、ものすごい抵抗でした」とY課長。想像を超える、信頼関係のなさ。「やる」と腹落ちさせるだけで、2か月かかりました。

現場には、実績のある"小ボス"――Y課長いわく「牢名主」――のような存在がいて、マネージャーですら「怒らせないように」と気を遣う始末。

Y課長自身も、最初は戸惑っていました。「"とにかく褒めてください"と言われても、理由もなく褒めたら、部下に気持ち悪がられました(笑)。今まで、褒めたことのない組織でしたから」

それでも、Y課長は逃げませんでした。日曜の朝5時から3時間、S先生に長文のメールで質問をぶつけ続けられました。S先生も、それに真剣に応え続けてくださった。この"あきらめない対話"こそが、後の変化の土台になっていきます。(これは本当に、見えない土台を作っていただいて、心より感謝——涙が出る思いでした)

空気が変わりはじめた瞬間

半年。少しずつ、しかし確かに、A社の空気は変わっていきました。

きっかけは、小さなことの積み重ねでした。

  • 「ありがとう」を、伝えるようにした。部下の販売の成果が上がってきたとき、Y課長は感謝のメールを送るようにした。「ちゃんと見てくれている」――その安心が、信頼に変わっていった。
  • 朝、目的を声に出す。あるチームでは、朝いちばんに「今日、誰に、何をしにいくか」を発表するようにした。すると、動きがまるで変わった。11時からすぐに、明確な狙いを持って現場へ出ていくように。
  • その日の勝負案件を、ロープレする。特にスキルの低いメンバーへの、その日その日のフォローが、よく効いた。
  • "日替わりヒーロー"。誰か一人が主役になるのではなく、日替わりで、みんなが主役になる。

そんな中で、私が今も忘れられない場面があります。

話し下手で、成績も最下位に近い。それでも、目標から逆算した行動量を、愚直にこなし、訪問を続けていた若手・Kさんがいました。

正直に言えば、そのプロジェクトは"売れないメンバー"を集めた、厳しい編成でした。集まった所長やメンバーも、どこかで「どうせダメだろう」「そのうち辞めるだろう」と、Kさんの存在を軽んじていたように思います。当時の営業会社には、実際そういう空気が色濃くありました。A社も、歴史がある分、その傾向は強かったように思います。

ただ、それでも愚直に動き続ける彼のことを、少しずつ、皆が気にかけ始めていた――そんな頃でした。ついにKさんが大型案件を成約し、当時推進していた"ヒーローインタビュー"の主役に選ばれたのです。

その場には、恐らく50人以上が集まっていたと思います。ぽつぽつと拍手が起こり、やがて、大きな拍手の渦になりました。営業で生きてきた人たちには、愚直に動き続けることの大変さ――お客様に相手にされない日々や、それに伴う心理的な労苦――が、痛いほど分かったのだと思います。

Kさんの奥底にある精神力と、愚直な誠実さ。その素晴らしさが、チーム全員に共鳴した――そう感じました。私は正直、なぜか、泣けてきました。ひょっとしたら、ほかにも泣いていた人がいたかもしれません。恥ずかしくて、隠していましたが(笑)。でも、これが"組織の空気が変わる"ということなんだ。私は、はっきりと、そう感じました。

そして、組織は生まれ変わった

半年後、最終ミーティング。そこは、かつての淀んだ空気が嘘のような場になっていました。

若手たちが、口々に語ります。「聞きたくても聞けなかったことが、この場で聞けた」「自分らしいやり方が、見えてきた」。そして――「リーダーになりたい」「正社員として、本気でやりたい」という声まで、上がるようになった。

いちばん象徴的だったのは、マネージャーの言葉です。

「最初は"やらされ感"でした。でも今は、"一緒にやっている"感じになった。チーム力というものを、初めて知りました」

数字も、見事に応えてくれました。

  • 対前年 120%という厳しい目標に対し、結果は 125%
  • ずっと前年比90%基調で苦しんでいた流れから、V字回復
  • てこ入れした営業所は、すべて成功
  • そして何より――新人が、辞めなくなった

Y課長は、こう総括されました。「硬直化した古い組織は、恐竜のようなもの。新しい環境に適応するには、哺乳類のように、チームの力で変わっていくしかない。この小さな一つのチームが、大きな組織のベクトルを変える"歴史"になったんです」

私が、この物語から受け取ったもの

このプロジェクトから、私はたくさんのことを学びました。それは、そのまま今の会社の"芯"になっています。

  • 組織を変えるのは、個人のスキルではなく、"空気"である。
  • その空気をつくるのは、「褒める」「ありがとうを伝える」という、温もりのある関わりである。
  • 答えは、いつもプロセスの中にある。 結果だけを責めても、人は動かない。
  • 人の中には、もともと凄い力が眠っている。 その力を信じ、引き出し、認め合う――その共鳴が"波動"となって広がる場をつくること。それこそが、私たちの仕事なのだと。

この体験がなければ、「組織の空気が変わる瞬間を、コーディネートする」という言葉は、生まれませんでした。A社の皆さんと、S先生に、心から感謝しています。

この物語は、あなたの組織の話かもしれません

もし今、こんな感覚があれば――

  • 昔からのやり方に頼るばかりで、新しい挑戦が生まれない
  • 要領のいい人だけが得をして、真面目な人が報われない
  • 若手が、育つ前に辞めていく
  • そして、なぜか職場の"空気"が重たい

それは、かつてのA社と同じサインかもしれません。そして、その出口は――新しいスキルを一つ足すことより、組織の中に眠っている力を、チームで引き出すことにあります。私たちは、そう確信しています。

御社の"組織の空気"は、いま、どんな状態でしょうか。

まずは現状をお聞かせいただくところから、ご一緒させてください(※ヒアリングとご提案までは無料です。どうぞご安心ください)。あの日のA社のように、御社にも必ず、"空気が変わる瞬間"は訪れます。

—— コンサルタントエージェント 代表 廣川智彦


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