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意図と温もりが巡る組織へ ―― SBNRな組織のつくりかた

意図と温もりが巡る組織へ ―― SBNRな組織のつくりかた

組織開発の現場にいると、よくこんな相談を受けます。「制度はきちんと整えたのに、なぜか機能しないんです」と。評価制度も、会議体も、業務フローも、教科書どおりに設計されている。なのに、現場の表情はどこか硬い。

私はこれを「器と中身」の関係で考えています。

制度や仕組みは、いわばです。けれど器は、中に何を注ぐかで生きてきます。どれほど精緻な制度をつくっても、そこに流れる意図――「なぜ、これをやるのか」という思い――が冷えていれば、やがて形だけが残っていきます。

ここで思い出したいのが、いま静かに広がるSBNR(無宗教型スピリチュアル)という感性です。サウナ、瞑想、推し活。人々は「ととのえる」ことを通じて、自分と、身体と、自然と、人とのつながりを取り戻そうとしている。すべてを測れる成果に還元する時代だからこそ、測れない温かさに、もう一度価値を感じはじめているのです。

組織も、同じだと思うのです。

最近注目しているプロセスマイニングという手法では、業務ログから仕事の実際の流れを可視化します。面白いのは、設計図どおりに人が動いていない箇所が、くっきりと現れること。多くの人はそれを「逸脱」と捉えます。けれど私は、そこにこそ現場の温もりが宿っていると見ています。誰かを助けるために回り道をした、その一手間。データに残るズレは、人が人を思った痕跡かもしれないのです。

ここで大切なのは、意図を「上から流す」だけでは足りない、ということ。経営の意図が現場に届き、現場の温もりがまた経営へ返ってくる。この循環が生まれてはじめて、器に血が通いはじめます。意図と温かさが互いに巡るとき、組織はようやく、活き活きと動きだすのです。

だから、仕組みを足し算する前に、問いたいのです。

――この器に、温もりは巡っているか、と。

なんでも数字で測る時代だからこそ、測れないものが循環する構造を、丁寧に育てたい。整った組織とは、冷たく正確な機械ではなく、温かさがめぐる、ひとつの生き物なのだと思います。

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